くよくよしない

文化大革命は中国人にとって大きな災難で
とくに実際に経験している両親や祖父母の
世代にとってはひどい爪痕を残しました。

「紅衛兵」による学生運動がエスカレート
するにつれ学校機能は麻痺し、学生生活は
無意味な政治闘争に染まり、その日までは
ずっと親しんでいた優しい先生であっても
出身の如何で急に敵と見做し、連日暴行し
最後は自殺するまで追い込んだりの情景に
まだ10代だった私の母も直面しました。

それまでは和気藹々とした学校だったのに
あっという間に暴力と恐怖の場所に変貌。
自分は地主の娘だからいつ何をされても
おかしくない恐怖を常に持っていました。

そんな母にとって進学できず農村で農作業
したことは、身体的にも精神的も辛かった
でしょうけれど、結果的にはささやかな
救いとなった部分もあったようです。
・学業は無く暴力しかない学校から離れた
・キツい農作業だったけど充実感もあった

現在60歳の母ですが、今も文革の影響は
残っています。たとえばあの当時、よその
「仲良し家族」だったハズの家や、ずっと
信頼している友人同士が裏切り合ったり
するさまを日常的にイヤになるほど散々
見てきました。そのため今でも「簡単に
人を信用しない」といった面があります。
また、私が外国人と結婚するという話を
したときにも、父と一緒になって「もし
もう一度文革が来たら、あなたのせいで
一族が丸ごとが悲惨な目に遭う」と心配を
したりなど…。

ところが、そんな母は私が共産党に対して
恨み言を言うと『昔のことは教訓として
覚えていれば良い。でもいつまでも恨んで
いても意味が無いよ』と諭します。

また(恨み言ではなく)共産党の批判をすると
「あなた個人の力は弱い。そういうことを
うかつに放言していると、そのためにその
弱い力さえ失う。無意味なことは考えるな』
と言います。

私が「今ここで批判もして、皆で頑張って
戦う準備を整えないと、本当に文革のような
人災が再来しても為す術が無い」と続けると
「その時はその時の生き方を探すの!」と
私の反共の言動に現実味が無いとみたのか
取り合ってくれません。

私は中共に目を付けられない範囲で
「中共には玉座に就く正統性が無い」
「文化を破壊し、命を奪い、害しかない」
「中国人は中国人らしさを取り戻すべき」
という空気を醸成したい思いはありますが
母が言う「“上”が誰であろうと生きる。
環境を変えるのではなく環境に適応して
生き抜いてみせる」という考えも中国人
らしいと言えば中国人らしい。

大躍進や文革で中国を滅茶苦茶にしながら
今も王座に座っていられるのはなぜか?
簡単に言うと「銃を持っているから」です。
加えて母のような中国人的な観念が中共を
延命させてしまっている気がします。

ただ、「勝てないケンカは絶対にしない、
ケンカをするなら勝てる時に」という母の
考えはすごく納得しています。

“くよくよしない” への1件の返信

  1. いつもながら中国の生々しい歴史的なお話に驚くばかりです。
    同時にお母様の逞しさに尊敬の念を禁じ得ません。
    出自でそこまで差別する「共産主義」てなんなんでしょうね…。
    お母様の処世術は現実に沿った極めて合理的なお考えと思いました。
    めめこさんの仰る「中国人らしさ」がいつか花咲くと良いですね。

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